セラミックコンデンサの音質を考察
電子工作
個人的に調べたメモ、妄想ですのでご参考までに。
以下セラコンといっても主に積層セラミックコンデンサ(MLCC)を想定しています。
一般的にオーディオにセラコンを使うのは禁物とされている。
特に高誘電率なものは良くないという話も聞いたことがある。
基本的には私も賛成でフィルムコンデンサを使うべきだと思っている。
ただ、フィルムコンデンサは容量の割に高価で大きいのが難点なので、もしセラコンでも一応聞くに耐えるものがあればというのがこの記事の趣旨です。
写真はフィルムコンデンサの例として大昔に買った双信電機の確かポリカーボネイトのもの。この寸法で2.2uFなので音質重視とはいえいやになる。
フィルムを固く巻いてからケースに入れてエポキシで固化したハイエンドオーディオ用のもの。足は銅線。
ケース右側の縦線はマイナスではなく外側の電極(箔)を示しておりこちら側の足を低インピーダンスの信号、GNDに繋ぐとノイズを受けにくい。 (昔の技術屋の常識)
2N3055(NPN TR、東芝)も写っているが共に金田式アンプ用なのでついでに記念?撮影。(出番がなさそうなもので)
基本的には円筒形にきっちり巻いたフィルムコンデンサが素材的・構造的に音質がよい。
これをプレスして長方形にしたものは巻きにゆるみが出来て音質がよくない。
例えばいわゆるマイラー(ポリエステル)コンデンサ。
素材的にはポリプロピレン(PP)が誘電正接(tanδ タンデルタ)が少なく歪みが少ないのでよい。 但し上図のようにばかでかいので現在の量産品では現実的ではなく、セラコンにせざるを得ない。
その様な訳で、最近の家電ではSMD(チップ)のセラコンらしきものを多量に使っており音質(アナログ)的にはどうかな~と思っていたのと、オーディオ用の電源に三端子レギュレーターを使った場合パスコンは現実的にはセラコンしかないがどうしたらいいのか?と思ったから。
要はプロの量産設計でどうしてもSMDのセラコンを使わざるを得ない場合の話。
ハイエンドオーディオの電源に低速な三端子レギュレーターは使わないが、一般的には非安定よりはよいと思う。(瞬発的な大電流も考慮したレギュレーターを選択した場合の個人的な感想)
それに「セラコンは音が悪いから使わない」の一言で済ましてよいのか疑問もあった。
それで調べてみると音が悪いのはセラミックが電圧で伸びるのが主な原因のようです。 セラコンにDC電圧を掛けると容量が減っていくというやつ。 電極間距離が離れるということです。
このためAC信号を印加するとセラコンが伸び縮みして鳴く(音鳴りする)場合がある。 極端な例が圧電スピーカー(ブザー)。
これにより高調波歪が発生すると考えられる。
ちなみに巻きの甘いフィルムコンも微かに鳴くし、アナログ信号が流れている同軸線を指で弾くと音がする場合がある。上の写真の物のようにモールドするとダンプされる。
つまり、DC電圧を掛けても容量低下が少ない物は伸び縮みが少なくまだましといえそう。 ただ、データシートには一例としては書いてあるが容量・耐圧1個1個毎には書いていないので判断できない。
ではどうするか。
印加電圧による容量低下は強誘電率なものほど大きい。
強誘電率のものは温度での容量変化が大きい。
→静電容量温度特性が良いものを使えばよい。
補足:基本的には静電容量温度特性の分類(C0G/CH、B/X5R、E/Z5U、R/X7R、F/Y5V等)順でよいが、中間のB/X5R、E/Z5U、R/X7R特性のものは同じ分類でも±10%と20%とかあったりして下のランクよりも悪い場合があり特性ランクだけでは一概にはいえないのである。
まとめ
・静電容量温度特性が良いもの程音が悪くならない可能性がある。
・C0G/CH特性(±30または60ppm/℃、±5%)品は電圧変化による容量低下がないのでこれは音が悪くならいではなくが音が良いらしい。
確かにセラミックスで固いので電圧で伸びなければ高音質な可能性はある。
但し、小容量しかないのが難点で使える場所が限られる。
なお秋月電子通商では 0.01uF までしか扱っていない。
なお、秋月電子通商では0.22uFまで扱っている。
・少なくともF/Y5V(-20、+80%位)のものは明らかに特性が悪いので絶対にやめたほうがよい。 このタイプのセラコンだけではセラコンの音の評価をしたことにならないと思う。
・現実的には±10%品を使うのがよさそう。
セラコンの中ではまだましな方という意味合いです。 秋月ならばこの辺り。
つまり、コスト、寸法の関係でセラコンを使うが多少音質を考慮するならせめてこれ位にした方がよさそうということ。
6.3V、±10%(X5R)、100uF位まで。 カットオフは32Ωで約50Hz。
100uF以上では±20%品になるのは仕方がない。 例えば16Ω負荷で50Hzは約200→220uF
と、個人的には考えることにしよう。
ただ、素質はこれでよいと思うがさらに高音質を望むなら
SMDに足を付けて絶縁コーティングしたDIP品は振動がダンプされるのでよい。 ただ、足が鉄線だと歪みが増えるので良くない。 が、殆どが鉄なので仕方ないか?
SMDで厚さが薄いものはたわみ(鳴き)易いので厚みがあり角柱に近いものがよさそう。(基本的に3216等の大きなサイズのSMDがよい)
などの条件があり最終的にベストなものは視聴してみないと分からないと思う。
いずれにしてもセラミックス固く、物理(音響)的に特定の周波数で共振し易いので絶縁コーティングでダンプでされたものがよい。 なければ(無酸素)銅線をチップ品にハンダ付けしてエポキシで固化してもよいと思う。
簡易的には固化ではなく、グルーガンでダンプ(制震)するのが楽。
なお、アナログ信号が通るカップリングコンデンサに使った時は音質の差が顕著に出るが、パスコンに使った場合それで程ではないが一応差がでるらしい。 特に(中・)高音域の音質に影響するようです。
参考サイト
・コンデンサの音と使い方 (通電してみんべ ca3080様)
もっと詳しい情報が欲しい方はこちらが参考になります。
「DACのアナログ追求⑧コンデンサその2」にセラコンの話があります。
・セラミックコンデンサの温度および電圧変動、またはご使用の4.7μFのコンデンサが0.33μFのコンデンサになる理由 (Maxim)
・MLCCを使いこなす。大容量積層セラミックコンデンサの賢い使用法 (RSコンポーネンツ)
以上
以下セラコンといっても主に積層セラミックコンデンサ(MLCC)を想定しています。
一般的にオーディオにセラコンを使うのは禁物とされている。
特に高誘電率なものは良くないという話も聞いたことがある。
基本的には私も賛成でフィルムコンデンサを使うべきだと思っている。
ただ、フィルムコンデンサは容量の割に高価で大きいのが難点なので、もしセラコンでも一応聞くに耐えるものがあればというのがこの記事の趣旨です。


写真はフィルムコンデンサの例として大昔に買った双信電機の確かポリカーボネイトのもの。この寸法で2.2uFなので音質重視とはいえいやになる。
フィルムを固く巻いてからケースに入れてエポキシで固化したハイエンドオーディオ用のもの。足は銅線。
ケース右側の縦線はマイナスではなく外側の電極(箔)を示しておりこちら側の足を低インピーダンスの信号、GNDに繋ぐとノイズを受けにくい。 (昔の技術屋の常識)
2N3055(NPN TR、東芝)も写っているが共に金田式アンプ用なのでついでに記念?撮影。(出番がなさそうなもので)
基本的には円筒形にきっちり巻いたフィルムコンデンサが素材的・構造的に音質がよい。
これをプレスして長方形にしたものは巻きにゆるみが出来て音質がよくない。
例えばいわゆるマイラー(ポリエステル)コンデンサ。
素材的にはポリプロピレン(PP)が誘電正接(tanδ タンデルタ)が少なく歪みが少ないのでよい。 但し上図のようにばかでかいので現在の量産品では現実的ではなく、セラコンにせざるを得ない。
その様な訳で、最近の家電ではSMD(チップ)のセラコンらしきものを多量に使っており音質(アナログ)的にはどうかな~と思っていたのと、オーディオ用の電源に三端子レギュレーターを使った場合パスコンは現実的にはセラコンしかないがどうしたらいいのか?と思ったから。
要はプロの量産設計でどうしてもSMDのセラコンを使わざるを得ない場合の話。
ハイエンドオーディオの電源に低速な三端子レギュレーターは使わないが、一般的には非安定よりはよいと思う。(瞬発的な大電流も考慮したレギュレーターを選択した場合の個人的な感想)
それに「セラコンは音が悪いから使わない」の一言で済ましてよいのか疑問もあった。
それで調べてみると音が悪いのはセラミックが電圧で伸びるのが主な原因のようです。 セラコンにDC電圧を掛けると容量が減っていくというやつ。 電極間距離が離れるということです。
このためAC信号を印加するとセラコンが伸び縮みして鳴く(音鳴りする)場合がある。 極端な例が圧電スピーカー(ブザー)。
これにより高調波歪が発生すると考えられる。
ちなみに巻きの甘いフィルムコンも微かに鳴くし、アナログ信号が流れている同軸線を指で弾くと音がする場合がある。上の写真の物のようにモールドするとダンプされる。
つまり、DC電圧を掛けても容量低下が少ない物は伸び縮みが少なくまだましといえそう。 ただ、データシートには一例としては書いてあるが容量・耐圧1個1個毎には書いていないので判断できない。
ではどうするか。
印加電圧による容量低下は強誘電率なものほど大きい。
強誘電率のものは温度での容量変化が大きい。
→静電容量温度特性が良いものを使えばよい。
補足:基本的には静電容量温度特性の分類(C0G/CH、B/X5R、E/Z5U、R/X7R、F/Y5V等)順でよいが、中間のB/X5R、E/Z5U、R/X7R特性のものは同じ分類でも±10%と20%とかあったりして下のランクよりも悪い場合があり特性ランクだけでは一概にはいえないのである。
まとめ
・静電容量温度特性が良いもの程音が悪くならない可能性がある。
・C0G/CH特性(±30または60ppm/℃、±5%)品は電圧変化による容量低下がないのでこれは音が悪くならいではなくが音が良いらしい。
確かにセラミックスで固いので電圧で伸びなければ高音質な可能性はある。
但し、小容量しかないのが難点で使える場所が限られる。
なお、秋月電子通商では0.22uFまで扱っている。
・少なくともF/Y5V(-20、+80%位)のものは明らかに特性が悪いので絶対にやめたほうがよい。 このタイプのセラコンだけではセラコンの音の評価をしたことにならないと思う。
・現実的には±10%品を使うのがよさそう。
セラコンの中ではまだましな方という意味合いです。 秋月ならばこの辺り。
つまり、コスト、寸法の関係でセラコンを使うが多少音質を考慮するならせめてこれ位にした方がよさそうということ。
6.3V、±10%(X5R)、100uF位まで。 カットオフは32Ωで約50Hz。
100uF以上では±20%品になるのは仕方がない。 例えば16Ω負荷で50Hzは約200→220uF
と、個人的には考えることにしよう。
ただ、素質はこれでよいと思うがさらに高音質を望むなら
SMDに足を付けて絶縁コーティングしたDIP品は振動がダンプされるのでよい。 ただ、足が鉄線だと歪みが増えるので良くない。 が、殆どが鉄なので仕方ないか?
SMDで厚さが薄いものはたわみ(鳴き)易いので厚みがあり角柱に近いものがよさそう。(基本的に3216等の大きなサイズのSMDがよい)
などの条件があり最終的にベストなものは視聴してみないと分からないと思う。
いずれにしてもセラミックス固く、物理(音響)的に特定の周波数で共振し易いので絶縁コーティングでダンプでされたものがよい。 なければ(無酸素)銅線をチップ品にハンダ付けしてエポキシで固化してもよいと思う。
簡易的には固化ではなく、グルーガンでダンプ(制震)するのが楽。
なお、アナログ信号が通るカップリングコンデンサに使った時は音質の差が顕著に出るが、パスコンに使った場合それで程ではないが一応差がでるらしい。 特に(中・)高音域の音質に影響するようです。
参考サイト
・コンデンサの音と使い方 (通電してみんべ ca3080様)
もっと詳しい情報が欲しい方はこちらが参考になります。
「DACのアナログ追求⑧コンデンサその2」にセラコンの話があります。
・セラミックコンデンサの温度および電圧変動、またはご使用の4.7μFのコンデンサが0.33μFのコンデンサになる理由 (Maxim)
・MLCCを使いこなす。大容量積層セラミックコンデンサの賢い使用法 (RSコンポーネンツ)
以上
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