オシロスコープキット(06204KPL)用 DC~1MHz 10倍アンプ 1

    電子工作
    04 /27 2015
    長年?放置してきたオシロスコープキット(06204KPL等)用のアンプの検討です。オシロ用でなくてもDCから高帯域なアンプの考え方の参考にはなると思います。

    秋月電子通商のこのオシロキットの最大感度は100mV/div(10mV/dot)とやや低いので、電源のリップルノイズ(ACカップリング)や0.1Ωの検出抵抗を使っての小電流(DCカップリング)の観測はできない。

    その為の10倍アンプです。
    帯域 DC~1MHz(-3dB)
    ゲイン 10倍
     5倍もあると便利かもしれないが切り替えるのは高周波的に不利なので行わない。
    最大振幅 ±0.6V
     普通にアンプとしても使えるがオシロの電圧軸(6div)に合わせて高周波で追従できるのは±0.6Vまでということ。 (例えば汎用のNJM4558DDだと1MHzで±0.16V)

    10倍すると
    ・10mV/div(1mV/dot)となり1mVの変化分かる。
      リップルでなくてもかろうじてマイクレベルの電圧の変化が見られる。
    ・0.1Ωの電流検出抵抗を使った場合に100mA/div(10mA/dot)、
     1Ωの電流検出抵抗を使った場合に10mA/div(1mA/dot)になる。
    と、オシロを使える場面が少し広がります。

    10倍のアンプなんて簡単かというとそうでもない。(今まで放置の理由)
    ・電流だけでなく電圧も観測したいのでアンプの入力抵抗を高く(1MΩ)したいので入力インピーダンスが高いオペアンプにする必要がある。
    JFET入力のオペアンプにすればよい。 が、基本的に遅いので速度的にかなり不利になる。

    ・帯域がDC~1MHz
    DC側
    オペアンプは入力0Vで出力が0Vにならないオフセット(ずれ)が生じるので対策が必要。
    DCまで扱うので出力はコンデンサなしのDCカップリングになるので基本的に±2電源が必要。(単電源でも細工すればできるが回路が面倒になる。)
    単純には006P(9V)を2個使えばよいのだが、2個が均一に減らず±電源の電圧が異なるとオペアンプのDCバランスが崩れて出力にDC(オフセット)が出る可能性がある。(やってみないと分からない。)
    または、±用のAC/DC電源を使うか、AC/DC単電源+レールスプリッタにする。
    但し、AC/DC電源のリップル、ノイズ、特にリーク電流が問題になる場合があるのでランニングコストは掛るが電池の方がリスクは少ない。
    (といってもコンビニで006Pを2個買うと1000円越えなので100円ショップか通販で秋月で買わないと006P 2個は辛い。)

    高域側
    1MHzで10倍(20dB)のゲインが必要だがJFET品では結構大変。
    金に糸目をつけないなら問題ないが4700円のオシロに例えば3000円のオペアンプを使うのは現実的ではないと思う。
    なので、現実的な費用(数百円?)のJFET入力オペアンプで高速なものを探す必要がある。
    SR(スルーレート)が高いオペアンプであること。
    スルーレートは信号の立ち上がり/立ち下がり速度(V/us)で1usあたりどれだけの電圧変化できるか。(1MHzで0.6Vの変化に追従できるかということ。)
    最大振幅はオシロ用に0.6Vでよいので極端にはきつくはないが注意が必要。

    オペアンプ以外のデバイス(素子、パーツ)も1MHz以上で動作ができること。
    コンデンサは自己共振周波以上ではLになることが知られているが、ゲインを決める抵抗器も無視できない。
    抵抗器の周波数特性はあまり公表されていないが1MHzまで安定に使えそうな100~50kΩの範囲のものを使うことにする。
    (勿論、抵抗器によるのでかなり大雑把な基準だし巻線抵抗は論外。)
    半固定抵抗器は数kΩ以下にする
    オペアンプの入力容量。
     JFET入力のオペアンプでは10pF位あり高周波では回路の動作に影響する。

    という訳でたかが10倍のアンプなんですけどDCと1MHz側で結構大変なんですよ。(^^;)


    詳細検討
    追記
    ・オペアンプはゲイン1倍(0dB)で発振しない物を使用を使用する。
     最近のオペアンプは大概大丈夫だと思うが念の為。
    追記終わり
    ・出力のオフセット電圧
    下図のようにR3を入れれば入力バイアス電流をキャンセルして減らせる。
     多少の入力保護にもなる。
    それとオペアンプを半固定抵抗でオフセットのトリム調整ができるものにする。(1回路入りのものになるということ。)
    GAIN_10_AMP_01.png  
    ついでに入力容量(10pF)の影響も記述してある。(影響の感じをつかむ為に抵抗値を入れてある)
    +入力のCはR3とでLPF(高域カット)になってしまう。
    -入力のCはR2とパラになり高域でインピーダンスが下がりゲインを上昇させる。
     これをキャンセルするにはR1とパラに小容量のCをパラにすればよい。
     図の回路では1.1pF位だがR1の寄生容量が0.5pF位はあるはずなので入れないことにする。
    共にポール周波数は10MHz位なので実際にはあまり問題ないと思われる。(というかそのような抵抗値を選んである。)

    メモ:今回のアンプより広帯域、高ゲイン、高出力振幅(のいずれか)にしたい場合は高速なオペアンプ2段にした方がよい。
    1段目:JFET品をボルテージフォロア(A=1)で使う。 上図のR3はなし。
     ゲインが0dB(1倍)なので高周波までバッファリングできる。
     但し、ゲインが0dBでも発振しないオペアンプであると。
    2段目:バイポーラ品で増幅する。
    にした方が1段(個)でやるより結局ローコストにできるだろう。
    共にトリム調整可能な1回路品。

    ・電源電圧
    出力が±0.6Vなので低くてもよいかというと
     高速に動くには電源電圧が必要。
     最大入力電圧は基本的に電源電圧までなので高い方が壊れにくい。
    のである程度高い電圧を与えた方がよい。
    従って低電圧(±3Vとか)で動作するオペアンプをわざわざ探す必要はない。
    基本的には006P(9V)、2個位の電圧で考えることとする。

    ・GB積
    1MHzで10倍なのでGB積(GBW)が10MHz以上のオペアンプであること。
    データシートは普通±15VでのTyp値なので余裕をみて倍の20MHz(Typ)は欲しい。
    GB積は目安なので正しくはボード線図をみて2MHzでゲインが20dB位(以上)なことを確認する。
    ついでに1MHzでの位相余裕もみる。 最低40°、理想は60℃以上。
    一般的なオペアンプの設計では増幅度1倍(ユニティ・ゲイン)での話だが、この記事ではユニティ・ゲインで発振しないオペアンプの使用を前提としていうのでそこは気にしておらず波形の再現性という意味合いである。
    (最低30°という話もあるがICのバラつき、動作温度、負荷条件等を考えると設計値としては40°以上とした方が良いらしい。)

    ・スルーレート(SR)
    必要なSRは2・π・f[MHz]・Vp  (V/us)で計算できる。
    1MHzで0.6V(0.1V,6div分)なで 3.77V/us
    これも余裕をみて倍の7.54V/us(Typ)は欲しい。

    追記
    ・フィードバック抵抗値(R1+R2)
    この回路の出力はオシロの1MΩに繋がるので負荷抵抗はほぼフィードバック抵抗値になる。
    データシートのオペアンプの出力特性はRL=1~2kで測られているのでこれ以上がよい。
    さらに抵抗値が高い方が最大出力振幅が上がり、数kΩ以上あればほぼ変わらなくなるのでこれを目安にする。
    厳密には±0.6Vしか使わないので最大振幅は無関係だが基本的に高抵抗な方がドライブし易いのは間違いない。
    追記終わり

    以上を踏まえて調べた結果
    全てのオペアンプを調べた訳でないがOPA604APが適切だと思う。 380円575円
    もし、帯域が400kHz(Typ)で良ければLF411CNが90円と安くてよい。
     リップル電圧と電流波形を見るのに普通は十分と思われる。
     お試しにはいいと思う。 後日OPA604等に差し替えればよい。
    と思ってLF411を買っておいたのだが大昔に買ったLF357(製造中止)があるのを思い出したのでこれで試してみることにする。 スペック的にはOPA604とほぼ同等。 但し、ゲイン5倍以上でないと発振するじゃじゃ馬?。 おまけにメタルカン。
    LF357 OPA604AP LF411CN
    Ios 3(Typ) 50(Max) 50(Typ) 25(Typ) 100(Max) pA
    Ib 30(Typ) 200(Max) ±3(Typ) 50(Typ) 200(Max) pA
    Vos 3(Typ) 10(Max) ±1(Typ) ±5(Max) 0.8(Typ) 2(Max) mV
    GBW 20(Typ) 20(Typ) 2.7(min) 4(Typ) MHz
    SR 50(Typ) 15(Typ) 25(Max) 8(Typ) 15(Max) V/us
    動作ドウサ電圧デンアツ ±5~±15 ±4.5~±24 ±5~±15 V
    電源デンゲン電流デンリュウ 5(Typ) 10(Max) 5.3(Typ) 7.0(Max) 1.8(Typ) 3.4(Max) mA
    これらは741タイプでピンコンパチ。 但し、
     トリム抵抗値が異なる。
     トリム抵抗の中点の接続先が357だけが特殊で+電源に繋ぐが他は-電源である。

    テスト回路
    といってもSGとか持っていないので大した試験はできません。
    オフセットの感じをつかむこと位かな。
    トリム調整用の半固定は25kなのだが持ってないので下図のようにする。
     LF357でないオペアンプのトリム調整の接続方は各データシートを参照して下さい。
    GAIN_10_AMP_02.png

    これで回路は固まったかというとまだである。
    電池の電圧バランスが崩れた時にどうなるか確認しなくてはならない。
    その為にレールスプリッタ(仮想グランド、ファンタム(ファントム)グランド)の回路も作る必要がある。 (下図の部品番号は適当です。)
    高速なので、もし発振する場合は411の出力(フィードバックの外)に22Ω位を入れた方が良いらしい。 少しずれても性能に影響はないのでオフセットのトリム調整は省いている。
    GAIN_10_AMP_03.png
    レールスプリッタのIC(TLE2426CLP)±20mAより出力電流が少し多く取れる。
    なお、中点電圧(オペアンプの+入力)のパスコンの接続の仕方は個人的にはどうすれば良いのか長年謎(-に繋ぐのはおかしい)だったがアナデバのAN-581.pdf(日本語英語)の最後の方のページの図7で発見しました。
    中点電圧が基準なのでここの電位をなるべく固定(安定)化するという考えだと思います。

    続 く
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